西澤さんと文子さん
もっとそばにいたい。
サングラスと行き止まり
お互いの気持ちが伝わった後、西澤は文子の顔をそっと見る。
泣きすぎて、兎みたいに真っ赤になっていた目。
崩れてしまっているメイク…
西澤はおどおどしながらも、冷静に文子を見つめ
「俺の為に…こんなに…ありがと。」
といって再び右手で抱き寄せ、ジャケットの左ポケットからサングラスを取り出し文子に渡す。
不思議そうな顔をした文子に「それ掛けとくだけでも痛くならないと思うから…目。」といってニコッと微笑んだ。
文子はそれを受けとり、「ありがと…ございます。」といいながら掛けた。
その時“ドキッ”と大きな鼓動音が文子の身体の中に広がっていく・・・
何度も何度も・・・
少し大きめのレンズ
少し大きめのフレーム
西澤サイズのサングラスは、文子には少し大きく、細くて華奢な両指でツルを押さえていないとレンズが下向きにうなだれてくる…
「わっ…きゃ!」
小さな声で動揺している文子の姿や仕草に、西澤はドキッとした感覚に浸り、見とれていく。
「に…西澤さん?」
「ご…ごめん…」
その時だった。