西澤さんと文子さん
数十分後
「ただいま~。」
西澤が玄関のドアを開けると、身重を感じさせないくらいの早さで、玄関に駆け寄ってきた文子。西澤は慌てて玄関下靴を脱ぐと、慌てて文子を止める。
「文子さん、走っちゃ駄目ですよ(怒)」
西澤が文子の眼を見て注意すると、文子はしょぼんとしながら「だって・・・」とつぶやいた。
「だってじゃないです。もしこけたりでもしたら、文子さんもこの子も怪我するかもしれない。だから、走らないでください(怒)」
そういうと、その場でしゃがみ「ただいま~パパ、お仕事がんばってきましたよ~。」と文子のお腹の中の子どもに声をかける。そして、再び立ち上がって文子を抱きしめた。
「だって・・・寂しかったから・・・。」
突然泣き始めた文子。びっくりした西澤は、文子の顔を見て、気持ちを汲み取れなくなっていたことに気づく。そして、文子の涙を指でふき取ると・・・
「ごめんなさい。打ち合わせが長引いちゃって・・・。本当にごめんなさい。」
西澤は、泣きながら文子に謝罪する。文子は「私も・・・ごめんなさい・・・」と西澤に謝った。