西澤さんと文子さん
「安西文子です。」
「・・・西澤です。」
少し低い、そして小さく暗い声でボソッと自己紹介する西澤。
「わ、若い子だけの方がいいみたいね。」
「そっ、そうみたいね!出ましょっか。」
親たちは退散。結局、文子と西澤さんこの空間に取り残された。
「に、西澤さ…?」
「嫌でしょ?俺みたいな人間…」
「えっ?」
文子の問いかけを遮るように、西澤が言葉を出す。
「40近くの自宅警備員は…」
「…」
部屋の空気がどんどん冷たくなっていくのを身体が感じていく。
「顔見てると、君も親に決められた口でしょ?帰りません?勝手に?」
(西澤さんの言ってる事は、私が望んでる事なのに…なんか…ヘコむ。)
文子は静かに首を下に向けると、ボソッとつぶやいた。
「私は…帰りたくても…この格好だから…帰れないんです。」
「着物は目立つか…」
そうすると、西澤はいきなり・・・