西澤さんと文子さん
結婚か・・・
あのドレス
文子さん、きっと似合うよな、ドレス。
きっと・・・
でも・・・
不安がよぎっていた。
今の自分の状況下に、結婚という形で、文子を妻として招き入れることを・・・
「ヒクッ・・・ヒクッ・・・」
スタッカートのような音が文子から聞こえてくる。我に帰った西澤は、そっと視線を下にして文子の様子を伺う。
「大丈夫?」
「ヒクッ・・・」
その音と同時に文子は静かにうなずいた。
「じゃ、行きましょうか。」
そういって、西澤は文子から離れると、右手をぎゅっと握る。
顔を下に向けたままだったが、文子も西澤の左手を握り返した。
少し照れながらも、ゆっくり待ちの中を歩き始めた二人。しっかりとはぐれないように手をつないで・・・