西澤さんと文子さん
「嫌でしょ、俺みたいな人間…」
「えっ?」
「40近くの自宅警備員は…」
西澤は、畳み掛けるように自分のイメージを文子に植え付けていく。
(よし、この調子だな。)
「すいません。」
(これで、このお見合いは終了。)
「じゃ、行きましょうか?」
(こいつにしゃべられたら、この作戦が失敗しそうな気がする・・・)
「・・・親にあっても絶対に何も言わないでくださいね。」
文子は、早くお見合いを終わらせたい西澤の手の中で転がされていた。
そんな状態の中、彼らは会場を後にする。
「あ…ありがとうございます。」
「いえ。お互いの意見が合致しただけですから。」
その時、西澤は初めて文子の顔をはっきりと見た。
(・・・こんな顔してたんだ、こいつ・・・)
西澤の中で、文子の顔が少しずつ焼き付けられていく・・・。
「あ・・・あの・・・。」
我に帰った西澤は「じゃ、ここで。」と言って文子と別れた。
不思議な気持ちを抱きながら・・・