西澤さんと文子さん
「あれ・・・俺・・・」
西澤は、うっすら目を開けながらそうつぶやく。そして、視界に文子が入ってきたことで、今の自分の居場所に気がついた。
「おはようございます(怒)」
「お・・・おはようございます(恐)」
怒った顔の文子、今の自分の体調・・・西澤は昨日の晩のすべてを思い出した。
「す・・・すみませんでした!」
そういって文子に土下座をするが、文子はぷいっと西澤から顔を背ける。そして時計を見て「仕事!」とつぶやいた。
「きょ、今日は、ど、土曜日じゃないんですか・・・?」
文子は、西澤のその声に携帯電話を探して、確認・・・
「本当だ・・・」
携帯電話の画面を見て呆然とする文子に申し訳なさそうに近づいて・・・
「お、俺・・・」
「何ですか(怒)」
静かな怒りが収まらない文子の様子を見て西澤は「な・・・なんでもないです。」と言って立ち上がると、玄関へ向かおうとした。
「・・・会わせてください。」
「?」
「西澤さんのお友達に、会わせてくれたら、一応、許します(怒)」
西澤には顔を向けず、そうつぶやくように話した文子。西澤は、ホッと胸を撫で下ろしながら携帯電話を取り出した・・・