【超短編】傘とアリガトウ
傘とアリガトウ
「‐これで、ショートを終わります。」
さようなら。
いつもと同じ台詞で帰りのショートを閉めて、
いつもと同じ事をして、いつもと同じ道を歩いて帰る…
筈だった、
今日の天気が、晴れ、もしくは曇りならば。
「ッチ。なんで、雨降ってんだよ。」
生徒が全員帰ったころを見計らい、ずっと思っていた事を呟いた。
それと同時に脳裏を掠めた、天気予報士のなんとも爽やかな笑顔。
‐イラッ…。
このままでは、校内の備品にグーパンチを一つ二つ、くれてしまいそうなので、窓を開け、土砂降りの雨の中に顔を出した。
顔に当たる水滴の冷たさに驚くと同時に、自分の顔がどれだけ熱かったのか、思い知る。
それから、数十秒、顔を外に突き出して冷たい雨に、打たれていた。
顔を打つ雨に、心地好ささえ感じた頃、突然雨が止んだ。
あれっと思い、目を開ければまだ、地面を雨が打っている。