【超短編】傘とアリガトウ
部屋の中に白い光が、溢れ、局員が出てきた。
「…、ここまで破壊するとは、何を考えている。」
「別に何も、考えてねえ。」
こいつになんか話したところでどうにかなるような、簡単な事じゃない。
「まあ、今日で調査を終え帰ってくるのだったな。少々縮まるが、今すぐ着いて来てもらおう。修理だ。」
「ちょっ…、待てよ!!」
「命令だ。もう一度言う…着いて来い。」
命令かよ、でも、まだやり残したことが‐。
抵抗しようとすれば、察知したのか拳が飛んできた。
「っく…!」
もともと、残り僅かだったエネルギーが0になった。
緊急用のやつが、まだ少し、ほんの少し残っている。
それでは、四肢を一本動かすだけで終わってしまう。
せめて…意識が途切れる前に、あいつに、先輩に。
アリガトウ、を届けたい。
お前のこと嫌いじゃなかった、って。
だめもとで、送ったそれは、届いていただろうか。
今となっては確認の仕様が無い事。