僕の身長で愛を測らないで下さい。
「い、今の、何なのっ…!」


あ、姫ちゃんのこと、忘れてた。


姫ちゃんがヨロヨロとつぶやく。


「お、追いかけないと…」


えっ、うそ、やめたげて。


って、言いたかった、


でも、言えなかった。


わたしは自分の命引き換えにしてまで、もと夫婦の感動シーン取り持ってやるほど義理にあつくない。


それに、相当数の生徒が二人についてったから、考えてみれば関係ない。


姫ちゃんが走り出した。


花梨ちゃんもどんくさく転びながら姫ちゃんのあとを追う。


わたしも何となくほっとけなくて走り出した。


「ちょっ、ミミ子っ」


珍しく一番正気を保っているアユ芽ちゃんもついてきた。


ものすごく心配かけてるな、と少しだけ申し訳なく思いながらも、わたしは振り向かずに花梨ちゃんのあとを追った。


「これ、どこ行ってるのっ」


前で花梨ちゃんが泣きそうになりながら叫ぶ。


「た、ぶん、講堂じゃないかな。」


アユ芽ちゃんがわたしの背後で叫びかえした。

再度確認しておくが、ここは学費のやたら高い学校だ。


敷地はばかでかい。


よって、建物のなかで鬼ごっこするにしても、一般的な広さの学校でやるのとはわけが違う。


自分がどこに向っているのか、日常でもたまに怪しくなるのだ。


こんな状況ではなおさら、混乱する。


しかし、変態性を無視すれば、パーフェクトなガールであるアユ芽ちゃんには、戸波先生がどこに向かっているのか、ある程度分析できるらしかった。




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