僕の身長で愛を測らないで下さい。
「わーお」


わたしは思わず感嘆の声を漏らした。


ホントに講堂についちゃったよ。


講堂には、好奇心旺盛な野次馬と、姫ちゃん同様狂気的に山田を愛してる生徒たちが集まっていた。


講堂の奥にはステージがあって、ステージから遠くになるほど座席の位置が高くなる構造になってるから、無駄にチビのわたしでも、ステージの上にいる戸波先生と山田を見ることができた。


誰かがご丁寧に照明をつけてくれたお陰でもある。


戸波先生は逃げるのをやめたらしく、静かに山田を見つめている。


事情を知らない生徒たちは、これからどんな舞台が始まるんだと、ある者はワクワク、ある者は戦々恐々とステージの二人を見守る。


わたしは複雑な思いでステージを見ていた。


二人だけの世界をつくってる山田と戸波先生を見て、たちきったはずの思いが、心のうちから湧き出てくる。


「ゆかりっ」


ふいに山田が叫んだ。


もう、逃げられてるわけではないだから、叫ぶ必要はないのだが、必死の山田は気づかない。


さながら、本物の舞台のごとく、役者の声が劇場に響く。


「俺とっ…」


少女たちは息をつめた。





「俺とっ、再婚してくれぇーーーーー‼‼」




…………



マヌケだな、おい。
< 133 / 153 >

この作品をシェア

pagetop