僕の身長で愛を測らないで下さい。
のちに伝説として語り継がれる『再婚プロポーズ』から二週間くらいたって、女学館内もだいぶ落ち着いてきたころ。


恋い焦がれる乙女たちの恐ろしい妄執を背負いながらも、山田は余裕の顔で教壇に立っていた。


戸波先生を取り戻して、ますます食えない感じに磨きがかかっている。


相変わらず、わたしをおちょくることをかかさない。


で、そのたんびにわたしは懲りずに泣きそうになる。


山田鈍すぎだろ、と怒りの電波をわたしは常におくっている。


わたし以上に怖いのはアユ芽ちゃん。


ホンキで山田を刺しかねないほど、ピリピリと張り詰めた空気を山田に向けている。


これにはさすがの山田も気づいているらしく、アユ芽ちゃんの席の前を通るときは少し引き気味だ。


明日も明後日も、ほとんど変わりばえのしない毎日が、過ぎてゆく。


山田への気持ちを、日常の平穏に葬り去るのだ。


まだ、うまくできないけど、そのうちきっと、変わるから。


そんなわたしの毎日に、一つ変化が起きた。
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