僕の身長で愛を測らないで下さい。
ユウ太くんの素直な反応にあっさり癒されて、わたしは微笑んだ。
「ほんと、ごめん。」
ユウ太くんはしょんぼりと言った。
一匹狼か。
そういえば、山田がそんなこと言ってたな。
あいつの入れ知恵か。
「ユウ太くん」
「は、はい」
名前をよぶと、ユウ太くんは直立の姿勢をとってわたしの言葉を待った。
「山田に何言われたかはわかんないけどね。」
「うっ」
ユウ太くんがうめく。
図星ですか。
「わたしが一匹狼だったっていうのは、単に今より怖がりだったってだけの話ね。」
「へっ?」
ユウ太くんの口がぽかーんとマヌケに開かれる。
こういう顔をするとユウ太くんは戸波先生に似ていることに最近気がついた。
板書間違えちゃったときの顔だ。
「今より怖がりで、今より泣き虫だったから、バリアはって自分守ってたの。」
今だって、怖がりで泣き虫だけど、お家のなか以外にも、わたしを大切に思ってくれる人がいるってわかったから。
守られてるから、もうバリアは必要ない。
「ミミ子ちゃん」
ユウ太くんが苦しそうに顔を歪めた。
ぎゅっとわたしを抱きしめる。
「ユ、ユウ太くん⁈」
腕にこめられる力が強くなる。
どんなに小さくても、やっぱり男の子なだけあって少し押したくらいじゃびくともしない。
「……ユウ太くん、人見てるけど、いいの?」
「……うわぁっ‼」
叫び声をあげてユウ太くんはわたしから離れた。
「ごめんっ」
「いや、うん、いいの」
お互い顔が真っ赤で目が合わせられない。
周りの人たちがクスクス笑ってる。
きっとほほえましい小学生のカップルだとでも思っているのだ。
あのショッピングモールの帰り道同様。
「い、行こっか」
ユウ太くんが変な方向を向いたままわたしに手をさしだす。
「う、うん」
わたしはひどく恥ずかしがりながらも、おずおずと彼の手に自分の手を滑り込ませた。
二人でいくあてもないまま歩きだす。
こないだより緊張するのはどうしてだろう。
わたしは数日前の、妙に落ち着いた自分を不思議に思った。
「……ミミ子ちゃんっ」
突然、いいこと思いついたみたいに、ぱっと顔を明るくして、ユウ太くんがこっちを見た。
さっきまでの照れが見事に消えている。
わたしはあっけにとられてユウ太くんを見つめた。
ユウ太くんの瞳がキラキラと輝く。
「今度、遊園地に行こっ」
「遊園地?」
「うん」
わたしはおかしくなって小さく吹き出した。
「え、な、何?」
わかってないユウ太くんがうろたえる。
「ふふっ、分かった。今度行こうね、遊園地。」
わたしはにこっとして少しだけ視線をあげた。
ほんのちょっとだけ高い位置にある、ユウ太くんの耳が、ほんのりピンクに染まってる。
「うんっ」
ユウ太くんは心底嬉しそうにうなづいた。
わたしは幸せだ、と今を噛みしめる。
慌てたり嬉しそうな顔したりと忙しいユウ太のそばにいられることが嬉しい。
素直でかわいい、男の子。
わたしは、もしかしたら、初めっから彼に恋してたのかもしれない。
「ユウ太くん」
「ん?」
「大好き」
ユウ太くんが驚いてわたしを見る。
そして優しく目を細めた。
「俺も、ミミ子ちゃんが大好きだよ。」
誰もいない路地裏にわたしを引っ張りこむ。
わたしたちは結婚式の新郎新婦の誓いみたいに向かいあった。
ユウ太くんがわたしだけに微笑みかける。
「世界で一番、君が好き」
そして、わたしのおでこにちゅっと優しいキスを落とした。
「ほんと、ごめん。」
ユウ太くんはしょんぼりと言った。
一匹狼か。
そういえば、山田がそんなこと言ってたな。
あいつの入れ知恵か。
「ユウ太くん」
「は、はい」
名前をよぶと、ユウ太くんは直立の姿勢をとってわたしの言葉を待った。
「山田に何言われたかはわかんないけどね。」
「うっ」
ユウ太くんがうめく。
図星ですか。
「わたしが一匹狼だったっていうのは、単に今より怖がりだったってだけの話ね。」
「へっ?」
ユウ太くんの口がぽかーんとマヌケに開かれる。
こういう顔をするとユウ太くんは戸波先生に似ていることに最近気がついた。
板書間違えちゃったときの顔だ。
「今より怖がりで、今より泣き虫だったから、バリアはって自分守ってたの。」
今だって、怖がりで泣き虫だけど、お家のなか以外にも、わたしを大切に思ってくれる人がいるってわかったから。
守られてるから、もうバリアは必要ない。
「ミミ子ちゃん」
ユウ太くんが苦しそうに顔を歪めた。
ぎゅっとわたしを抱きしめる。
「ユ、ユウ太くん⁈」
腕にこめられる力が強くなる。
どんなに小さくても、やっぱり男の子なだけあって少し押したくらいじゃびくともしない。
「……ユウ太くん、人見てるけど、いいの?」
「……うわぁっ‼」
叫び声をあげてユウ太くんはわたしから離れた。
「ごめんっ」
「いや、うん、いいの」
お互い顔が真っ赤で目が合わせられない。
周りの人たちがクスクス笑ってる。
きっとほほえましい小学生のカップルだとでも思っているのだ。
あのショッピングモールの帰り道同様。
「い、行こっか」
ユウ太くんが変な方向を向いたままわたしに手をさしだす。
「う、うん」
わたしはひどく恥ずかしがりながらも、おずおずと彼の手に自分の手を滑り込ませた。
二人でいくあてもないまま歩きだす。
こないだより緊張するのはどうしてだろう。
わたしは数日前の、妙に落ち着いた自分を不思議に思った。
「……ミミ子ちゃんっ」
突然、いいこと思いついたみたいに、ぱっと顔を明るくして、ユウ太くんがこっちを見た。
さっきまでの照れが見事に消えている。
わたしはあっけにとられてユウ太くんを見つめた。
ユウ太くんの瞳がキラキラと輝く。
「今度、遊園地に行こっ」
「遊園地?」
「うん」
わたしはおかしくなって小さく吹き出した。
「え、な、何?」
わかってないユウ太くんがうろたえる。
「ふふっ、分かった。今度行こうね、遊園地。」
わたしはにこっとして少しだけ視線をあげた。
ほんのちょっとだけ高い位置にある、ユウ太くんの耳が、ほんのりピンクに染まってる。
「うんっ」
ユウ太くんは心底嬉しそうにうなづいた。
わたしは幸せだ、と今を噛みしめる。
慌てたり嬉しそうな顔したりと忙しいユウ太のそばにいられることが嬉しい。
素直でかわいい、男の子。
わたしは、もしかしたら、初めっから彼に恋してたのかもしれない。
「ユウ太くん」
「ん?」
「大好き」
ユウ太くんが驚いてわたしを見る。
そして優しく目を細めた。
「俺も、ミミ子ちゃんが大好きだよ。」
誰もいない路地裏にわたしを引っ張りこむ。
わたしたちは結婚式の新郎新婦の誓いみたいに向かいあった。
ユウ太くんがわたしだけに微笑みかける。
「世界で一番、君が好き」
そして、わたしのおでこにちゅっと優しいキスを落とした。