僕の身長で愛を測らないで下さい。
「ミミ子は変態じゃありません。変態はわたしの方です。」


アユ芽ちゃんはむっとしたらしく力強い口調で言い返した。


自分は変態だと宣言するのか。


つうか、自覚症状あったんだな。


いや、その前に何で自慢げなんだ。


「へぇ。」


ヒロ人くんはさして興味なさそうにうなづいて言った。


「ユウ太、その子たちから離れろ。」


目に必死の光が宿っている。


無表情がはりついているから何事にも無関心に見えるがそうでもないらしい。


しかし……


「別にわたしたち、とって食ったりしないわよ?」


アユ芽ちゃんが綺麗なまゆ毛をつりあげた。

そんな怯えなくたっていいのに。


ヒロ人くんの目にはわたしたちがいまにもユウ太くんを食い殺そうとしているように見えているらしい。


「あ…悪い。こいつちょっと天然だから。」


ユウ太くんが両手をブンブン振って弁解した。

やっぱりそれ、くせだよね。


「ユウ太‼早く離れないと。もしかしたら侵略宇宙人に洗脳されてるのかもしれない。」


わたしとアユ芽ちゃんは思わず顔を見合わせた。



「アユ芽ちゃん、今の冗談だよね。全然面白くないけど。」


「ミミ子、きっと深く感じ取らないと分からないシュールな笑いなんだよ。」


「いや、だからこいつ天然なんだって。」

ユウ太くんが金縛りにあったように動けなくなってるヒロ人くんを何の遠慮もなく指さした。


「え、えっと。」

「いや、もう天然ってレベルじゃないでしょう。」

変態たるアユ芽ちゃんにここまで言わしめるとは美少年恐るべし。












< 33 / 153 >

この作品をシェア

pagetop