僕の身長で愛を測らないで下さい。
「ユウ太ぁ、ユウ太は可愛いんだから、連れ去られたらどうするんだよぉ。」


あいもかわらずヒロ人くんの表情は『無』だが、声に涙が滲みはじめている。


なんか、かわいい。


思考のレベルが宇宙すぎる。


むしろわたしは君を誘拐したいぞ。




その時、額に怒りマークが発現したユウ太くんが、ゆっくりとヒロ人くんに近づいて行った。


ニコッ


後ろ姿からでもわかるくらいに、ユウ太くんはヒロ人くんに向かってにっこりした。


いったい何が始まるんだ。





甘えるような声でユウ太くんが無体なことを言い出した。


「ひ~ろとくん、お手」


ダメだ、さすがについて行けん。


それにしてもどうして美少年さまは素直にお手してらっしゃるんでしょう。


わたしが頭を抱えた時、隣りから不穏な空気がした。


変態濃度が高まる瞬間のあれ。


「カッ‼」


やっぱりね‼‼


アユ芽ちゃんはユウ太くんとヒロ人くんのワールドに突如乱入すると、またしてもユウ太くんに抱きついた。


何でそっちに抱きつくんだろ。


人間にたいしてお手をうながした人物だぞ、そのちびっ子は。


「うわーユウ太から離れろ!侵略者め‼」

「いやー!離れない。ぁあ、可愛い。うへうへうへ……」


ダメ!その笑いかたはさすがに引かれるぞ。


「ヒロ人、別にいいんだよ。ね?」


さすがだ、ちびっ子よ!


自分に張り付いているやつが美少女なら、たとえ変態でも天国か!


この状況でそこまでデレデレした顔を出来るのはある意味才能だ。



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