僕の身長で愛を測らないで下さい。
結局わたしは始めて会った時同様、ユウ太くんからアユ芽ちゃんを引き剥がした。

「ぶーぶー」


ぶーぶー言ってるけど、知らん。


「ユウ太くん、アユ芽ちゃんが暴れられないところに行こう。」


「へ?そんなとこあるの。」


半ば放心状態のユウ太くんがぼーっと返事を返した。


そんなユウ太くんに、今はヒロ人くんがへばりついている。



息が上がってるのに無表情は崩れない。


ヒロ人くんには表情筋というものが存在しないのだろうか。


「ご飯食べれるところに行こう。いくらなんでも小さい子どもを連れた親子連れなんかの前で暴れたいしないよね、アユ芽ちゃん?」


にっこり笑って最後はアユ芽ちゃんに直接たずねた。



「う、うん」


アユ芽ちゃんはしょんぼりと下を向いて、わたしの服の袖をつかんだ。


「それならよろしい。ユウ太くん、ヒロ人くんを引きずってでも連れてきて。」


ちらりとユウ太くんに目をやると、彼はヒクリと口を引きつらせてうんうんうなづいた。


ヒロ人くんはまだわたしたちを恐ろしそうに見ている。


しかし、とりあえず彼の意思は関係ない。


ヒロ人くんの美しい顔面を拝める機会は今日を逃せばもうなさそうだから。


わたしもなんだかんだ言って変態の部類なんだろうかと、少しアユ芽ちゃんに申し訳なくなった。
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