僕の身長で愛を測らないで下さい。
「あ、あの、姫、わたし受付やっていいかな。」


今時めずらしい、おさげ髪の椎名花梨がおずおずと手を上げた。


思わず守ってあげたくなる、儚い雰囲気をばらまいているのに、姫ちゃんの答えは、


「ダメ」


ものすごく嬉しそうだ。


花梨ちゃんは不満そうに唇をとんがらせて、上目遣いに姫ちゃんを見た。


「何で?」


「いやぁ、だって花梨だから。」


ひどすぎる理由だが、わたしたちクラスメイトは軽く受け流す。


姫ちゃんと花梨ちゃんは幼なじみで一番の仲良しだ。


で、姫ちゃんは花梨ちゃんで遊ぶのを生きがいとしている。


花梨ちゃんの願いをはねつけ、傷ついた顔を見る絶好の機会を、姫ちゃんが見逃すはずもない。


かわいい子ほどいじめたい、というやつらしい。


以前花梨ちゃんがどこぞの男にナンパされた時、そっこう駆けつけて飛び蹴りを食らわしたというから、姫ちゃんの花梨ちゃん大切っぷりは相当なものだ。
(ナンパ男はお気の毒。ただ声をかけただけなのに。)


でも、それとこれとは別、らしい。


簡潔にまとめれば、花梨をいじめて良いのは姫だけ!ということだ。


そして、姫ちゃんは今日も嬉々として花梨ちゃんをいじめる。


「花梨にはそのなっがい三つ編みをおおいに活用してもらわないと。白い浴衣とか着てみる?けっこうそれっぽく見えるんじゃない。」


「うぅ、姫のばか。」


花梨ちゃんがか細くつぶやいた。


















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