僕の身長で愛を測らないで下さい。
姫ちゃんが支配する恐ろしい話し合いを乗り越えて、わたしたちは放課後にたどり着いていた。


クジを引いたすえに、わたしは前半、アユ芽ちゃんは後半のお化け屋敷要員になった。


お化けをやらせてもらえない上に、わたしと分かれてしまってアユ芽ちゃんは放心している。


「いゃあぁああ!!!」


放心状態から復活すると、アユ芽ちゃんはケモノの雄叫びをあげた。


「もう、しょうがないでしょう。」


通行人がぎょっとしてこっちを見る。


今わたしにうろんな目を向けたサラリーマン、叫んだのわたしだと思ってた。

透明な光を放つ美しい少女が、野生味あふれる絶叫をしたなんて考えたくないのはわかる。


ただし、わたしを巻き込まないで欲しい。

「ほら、もう行こう。新しくできた雑貨屋に行くんでしょ。」


「ミミ子だって怖がってるくせに。お化け屋敷。」


やめてくれ‼頭から排除しかけてたのに。

「ヒ、ヒヒヒヒ、ヒヒ」



「ぎゃあ、ミミ子が壊れた‼」


わたしは五分くらいで出てこれる遊園地のお化け屋敷ですらダメなのだ。


いくら自分も仕掛け人の1人だとわかっていても、午前いっぱいお化け屋敷の中にとどまらないといけないなんて。


発狂しそうだ。
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