僕の身長で愛を測らないで下さい。
当日にたどり着くまでの準備は騒々しいものだった。


やることはほかの学校と同じだが、お嬢様学校だけあって、予算だけはやたらにでかい。




それが仇となって凝りに凝ったセットを作るはめになり、2年A組のお嬢様たちは馬車馬のように働きつめた。


時にぬりかべを灰色に染め、

時にスライムを買いに走り、

時にアユ芽ちゃんから絶叫の手ほどきをうけて喉をからし、


時に姫ちゃんに遊ばれている花梨ちゃんに同情の目を向けた。




「もう、明後日だな、お化け屋敷。」


日も暮れようかという頃、ぽつねんと校門の前に立っていたら山田が話しかけてきた。


「はい。」


わたしは顔をそらして、そっけない返事を返した。


「お前ら、よく頑張ったなぁ。」


山田が優しい笑顔を浮かべているのが横から伝わってくる。


「わたしたちの文化祭ですから。」



「はは、そうだな、先生も年くってるのに仲間にいれてもらえて楽しかったよ。」

山田の高校時代なんて、そう昔でもないだろうけど、


「そうですね、わたしたちに感謝してください。」



と返して、山田を見上げた。


山田がにやっと人の悪い笑みを浮かべる。

「まぁ、お前のアホ担任としては、お化け屋敷の中でお前が泣き出さないか心配だけどな。」











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