僕の身長で愛を測らないで下さい。
明橋女学館の文化祭当日、俺は意を決して乙女の楽園へ足を踏み入れた。


ヒロ人は嫌がっていたくせに、


「ユウ太1人じゃ餌食になる‼」


とか意味の分からないことを言ってついて来た。



俺も正直に言えばヒロ人がついて来てくれてほっとしていた。


ヒロ人は幼なじみだから、事情もいろいろ察してくれる。


宇宙人なりの方程式で。




「にぎやかだねぇ!」


俺は、あいもかわらず表情に『無』をたたえたヒロ人に満面の笑みを向けた。


母親の職場とはいえお嬢様学校ということで、かなり気おくれしていたのだが、

規模が馬鹿でかくて、設備が整っていることをのぞけば俺たちの文化祭とあまり変わらない。


出店が並び、ステージが組まれ、多くの人で賑わっている。


俺は小学生のようにはしゃぎまくっていた。


「ユウ太、勝手にどっかいっちゃだめだよ。」


「……はぁい」


あえて、何も突っ込まない。

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