僕の身長で愛を測らないで下さい。
「ねぇ、あの人かっこ良くない?」


「ほんとだぁ、美少年さんだぁ」


あっちこっちで女の子が視線を向けてくる。

見られているのはヒロ人の方だし、こんな状況には慣れているのだが、


明橋女学館の黒い制服を着た女の子たちの……


ヒロ人を見る目に妄執を感じる。


「ヒッ」


ひときわ鋭くてねっとりした視線を向ける子がいて、俺は悲鳴をあげた。


「ユウ太!どうした?怖い人でもいたか?」


はい、いました。


ヒロ人が心配そうに俺の頭をなでた。


その手がそのままほっぺにのびてくる。


「顔にさわるなよ。」


ピシャリと言うと、ヒロ人はしぶしぶ手をのけた。


「だって、いちご大福みたいで美味しそうだったから。」


「お前は俺の顔を食う気か‼」



良くも悪くも、俺はこの学校にはあの人がいることをすっかり忘れていた。
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