僕の身長で愛を測らないで下さい。
「……おじちゃん、おじちゃんのこと、恨んでも、いい?」


「きゃぁああああ‼」


事前に決めておいた台詞を、できるだけ幼い声で客の足元に囁く。


吹っ切れていたわたしは、こうなったら自分が怯える暇もないほど客どもをおどかしてやろうと考えていた。


「お姉さん、お姉さんの足、もいでいい?」


「ぎゃぁあぁああ‼」


「そこの少年、君の腕、溶かしていい?」


「ごぎゅぁああああ‼」


わたしにはそういう素質があるのか、誰もが面白いくらいに怯えてくれる。


そうこうしているうちに、だんだん楽しくなって来た。


お客さんの恐怖にうちのめされた顔が嬉しくてしかたない。




たまに、下を見て自分の足にくっついてる物体がひょっとこだと気づく人もいる。


目が点、というのはああいう目を言うのだとわたしは知った。






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