僕の身長で愛を測らないで下さい。
ウシシシシシ


気色の悪い笑い声が口から漏れた。


新たな獲物が我が館に入って来たようだ。


足が四本見える。


二人組の男子のようだ。


「頑張ってね。」


1人が口を開いた。


いったいなんのエールだろう。


もう1人のほうがお化けを死ぬほど怖がってるとか?


わたしは頭にはてなマークをのせながら、そろそろと二人に近づいていった。


1人の短い左足に腕をまわし、この数時間で身につけた演技力を思う存分発揮した。


甘えるような、幼い声で、


「お兄ちゃん、恨んでも、いい?」


わたしは、どんな反応が返ってくるのかと、ワクワクして耳をすました。

「い…」

ん?何だね、聞こえないよ。



イャぁあああああああ


地の底から響くような悲鳴に、わたしはビクッと身を震わせた。



「ユ、ユウ太、落ち着いて」


え?ユウ太?


「ぐえっ」


フリーズしていると、出口にむかって猛然と走りだした男子のかかとがあごにヒットした。


蛙みたいな声でたな、今。


痛いあごをおさえながら、わたしは首をかしげた。


今の、ユウ太くんと、ヒロ人くんだった?














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