僕の身長で愛を測らないで下さい。
「あぁっ、先生来てたんですね。」


黒いオーラを放つアユ芽ちゃんの横でだんまりをしていると、女の子たちが数人帰って来た。


黄色い声が山田を見つける。


「先生どこにいらしてたんですか?全然わからなかった。」


「まぁ、広い学校だからなぁ。」


山田は笑顔でのんびり答えた。



「先生とまわりたかったなぁ。」


一人の女の子の言葉に、わたしは思わずどきりとする。

「ははっ、まぁ、これから幽霊なり妖怪なり壁なりに化けて売り上げに貢献してくれ。」

「はぁーい。」


かわいらしい声が重なった。



廊下から足音がする。


はじめの女の子たちに続いてみんなが教室に戻って来たようだ。


山田はわたしの方を向いて、


「そろそろ行くか。」

と笑った。


「行くならさっさと行ってしまえ。」


アユ芽ちゃんがぼそりと呟いた。


「後で来るからね。」


わたしはせめてもの慰めとそういってアユ芽ちゃんに笑いかけた。


途端にアユ芽ちゃんの顔がぱぁーっと明るくなった。

「うんっ」


アユ芽ちゃんが力いっぱいうなづくと、明るい色の髪がさらりと揺れた。


うっ、久しぶりに後光が見える。


眩しい。
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