僕の身長で愛を測らないで下さい。
わたしと山田は賑やかになってきた教室を離れ、外にでた。


今は何もつけていない桜の木が光を浴びている。

文化祭の喧騒は遥か遠くだ。


「ここらへんは静かだよな、やっぱ。」


「恐怖の館と展覧会しかありませんからね。」

「お化け屋敷をするには好都合かもしれないが、美術部としては不本意なんじゃないか。なぁ、美術部員。」


「……そうでもありませんよ。」


わたしは一応美術部に所属している。


随分とながい間、顔を出していないが、さぼっているわけではない。


活動日は〈気が向いた時〉というアバウトな部活なのだ。


「お前はどんな絵を飾ってるんだ?」


からかうような口調がなんか腹立つ。


「わからないです。前に描いたやつを適当にだしといてって言っといたから。」


ぎろりと山田を見上げながら答えると、

「じゃあ、どんな絵が飾られてるのか、自分のことなのに知らないのか。」

とあきれた顔で見下ろされた。


「はい。」


「…お前な。いや、むしろ、美術部の適当っぷりに感嘆するよ。」


それはどうも。




< 71 / 153 >

この作品をシェア

pagetop