僕の身長で愛を測らないで下さい。
「ほれ。」


しばらく何も言わずに歩いていると、山田にビニール袋を渡された。


スーパーとかでくぱられるサイズのやつだ。


「こんな小さいのでいいんですか。」


「だってでかいゴミ袋もって歩くの大変だろう。」


確かに。


「それもそうですね。」

山田がはっと気づいたようにこっちを見た。

「そういや、お前ってうるさいとこ苦手だっけ。」

「はい…」

適当教師だが、山田は以外と生徒をよく見てる。

山田は頭に手をやって申し訳なさそうな笑みを浮かべた。


「悪いなぁ。いまから行くとこは耳がぶっ飛ぶくらいうるさいけど、いいか?」


わたしは赤くなった頬をごまかすように、
「ふんっ」

と鼻を鳴らした。

「お前の鼻は元気だな……」

「しょうがないですね。アホランチンの先生のために蠢く輩のもとへ参りましょう。」


わたしは先生のあきれた声をさえぎるようにまくしたてた。


「教師の言葉を遮るなよ、つうかアホランチンってなんだ。アホの進化形か、俺はポ○モンみたいに進化したのか、蠢く輩って何だイナゴの集かよ…」


山田はイナゴの集に突入するまで、何やらぶつぶつ言ってきた。


わたしはといえば、変人化している山田の隣で、

(このすきに顔に落書きとかできないかな)

とか無邪気にお子様モードに突入していた。

幸い恐怖の館の制作に使った油性ペンがまだポケットにある。

しかし生憎、背丈は万年お子様であるため山田の顔にペン先が届かない上に、歩行中だったため、わたしの野望は遂行されなかった。
< 72 / 153 >

この作品をシェア

pagetop