僕の身長で愛を測らないで下さい。
文化祭は大盛況だった。

普段は頑なな秘密の花園の扉の内へと、足を踏み入れることが許される年に一度の機会だ。





お嬢様とお近づきにならんと息巻く男子大高中生はいわずもがな、

興味深々の女子高生や、はたまた定年を迎えたおじさんグループに、

わたしの中の分類としては女子高生と同義語の主婦グループ、

近所のガキンチョ。

生徒の家族である金持ちな夫婦とかが紛れ込んでいるのも時々見る。


名目としてはお嬢様学校なのに、ここまでオープンなのはわが母校だけのような気がする。

「大丈夫か?無理しなくてもいいからな。」

人のあまりの多さに早くも眩暈を覚えはじめたわたしに、山田が珍しくいたわるような声をかけた。


「っ……なんのこれしき。」


「……先生、時々お前の時代背景がわからなくなるよ。」






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