僕の身長で愛を測らないで下さい。
「上松さんだって文化祭を楽しみたいでしょうに、ゴミ拾いだなんて。嫌でしょう?」

先生が膝を曲げてわたしの顔を覗き込む。
忘れかけていたが、さすがはユウ太くんのお母さん。

自分より背の低い人間に目線を合わせることに慣れているようだ。

膝の曲げ方が美しい。

「いえ、別に何したいわけでもないんで、手伝ってます。」

わたしは天使の微笑みを浮かべて言った。

「そう?」

戸波先生が心配そうに首を傾げる。

「はい。」

「わかったわ。上松さん本人の意思だものね……山田先生。」

「は、はい」


戸波先生に目が釘付けになっていたらしい山田は慌てて返事をした。

「悪い輩から、学校を守ってくださいね。」

わたしからしてみれば戸波先生のが時代背景わかんないよ。

「はいっ」

山田が無駄に元気な返事をする。

じゃあ、と戸波先生はにっこりして去って行った。


「ふぅ」

戸波先生の後ろ容が紛れて見えなくなると、山田は悲しげに息を吐いた。


……戸波先生のことが、苦手、なんだよな。

だって、二人は正反対だし、戸波先生は山田に小言を言うし。



わたしは自分でもいったい何に対して言い訳をしているのかわからなかった。
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