僕の身長で愛を測らないで下さい。
大仰な別れをしたわりに、俺とお父さんはしょっ中会っていた。


大抵は俺がお父さんの住んでるマンションに出向いた。


土日は大抵泊まっていた。


お母さんは俺をお父さんから遠ざけようとはしなかったし、一ヶ月くらい泊まりに行かないと、


「そろそろ顔見せてあげなさい。」


と仏頂面で俺の泊まりの支度をしてくれた。


「ユウ太ぁ、よく来たなぁ。」

お父さんは俺が来ると、女の子たちもちょっと引くんじゃないかってくらいデレデレした顔をして出迎えた。

「パパァ!」

でも、俺は俗に『ふぁざこん』と言うやつだったので、広い心で受け止めた。


お父さんは食材が哀れになるくらいの料理下手だったから、

お母さんからおなごの如く料理を仕込まれた俺は、泊まりに来た時にできるだけ多くのオカズを作ってタッパに分けて、冷蔵庫に入れるようにしていた。


掃除もろくに出来ないダメ親父でもあったので、良くできた子だった俺は、来るたびに、部屋中をピカピカにした。


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