TABOO Ⅹ~優しくて冷たい雨音~
「弟とは中学が一緒だったの?」と聞くと、「はい」と頷く。
「じゃあ、後輩だね。あたしもS中だったから」
てっきり高校に入ってからの友達だと思ってたけど、初めて制服姿を見て違うってわかった。
それにしても、まだ1年生なのに背高いなー。
あたしの目の高さにある彼の肩を眺めていると、ふいに視線がぶつかった。
やけに大人びた薄茶色の瞳に真っ直ぐ見下ろされ、何だかドキドキしてくる。
そんな時。
「きゃ…っ」
突然強い力で引き寄せられ、驚いて見上げた彼の肩越しに、かなりのスピードで走り去っていくバイクが見えた。
「ビックリした。ありがと」
慌てて離れようとしたけど、掴まれた腕が外れない。
「…?」
再び見上げたあたしに、綺麗な瞳が近付いてくると…
そのまま、冷たい唇がそっと重なった。