TABOO Ⅹ~優しくて冷たい雨音~


「弟とは中学が一緒だったの?」と聞くと、「はい」と頷く。


「じゃあ、後輩だね。あたしもS中だったから」


てっきり高校に入ってからの友達だと思ってたけど、初めて制服姿を見て違うってわかった。


それにしても、まだ1年生なのに背高いなー。


あたしの目の高さにある彼の肩を眺めていると、ふいに視線がぶつかった。


やけに大人びた薄茶色の瞳に真っ直ぐ見下ろされ、何だかドキドキしてくる。


そんな時。


「きゃ…っ」


突然強い力で引き寄せられ、驚いて見上げた彼の肩越しに、かなりのスピードで走り去っていくバイクが見えた。


「ビックリした。ありがと」


慌てて離れようとしたけど、掴まれた腕が外れない。


「…?」


再び見上げたあたしに、綺麗な瞳が近付いてくると…


そのまま、冷たい唇がそっと重なった。


< 4 / 6 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop