『さよなら』から始めよう



倉庫作りの為か
多少の大騒ぎをしても
声が分散され


隣席の客との揉め事も
抑えられる


衝立だけの仕切りが
酔っ払い達の背に押され
動いてしまう事から


個室に区切られた
備え付けの仕切りに改装されたが
出口は塞がず
店全体が見渡せる作りのまま
封鎖的にはしていない


偶然 店で鉢合わせした
顔見知りの相手と
閉鎖的な個室に別れてしまうと


全く関係ない話声が漏れてくるだけで
不愉快になる事もあり
くだらない喧嘩が始まるが


開放的に開かれた席では
通りすがりに顔を出せたり
小さな合図を送るだけで


互いの意志を確認でき
無駄な争いも回避できる事もあり


高野と飲みに行く店は
大概 決まって
この洋風居酒屋だった



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