『さよなら』から始めよう
何もかもを理解したと
高野に伝える為
「…へぇ」
意味のない強がりを
呟いていた
視線を外した高野は
煙草を吸い
期待していない答えに
溜息混じりの煙りを
吐き捨てる
惨め過ぎる状況に
悲観する程
虚しいモノはなく
「俺より優れた男なんだろ
それだけの事だ
徳子が選んだ相手に
負けただけ
仕方ない」
白旗を掲げた方が
敗北者でも救われる
だが高野は鼻で笑い
捻り出した言葉を
無残にも踏み潰した