『さよなら』から始めよう



意識的に排除する
徳子の存在


朝飯など
珈琲だけで
済ませていたのに


トーストを焼く
不自然な自分が
意地にすら思えた


冷蔵庫の中には
容器にこびり付いた
バターしかなく


蓋を開けるたび
同じ溜息をつき
諦めては戻す日々


空っぽの容器が
ただ無意味に冷やされ
バターの役目を果たし


何もかもが
くだらなく思えた



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