『さよなら』から始めよう



焼きすぎた
焦げたパン


タオルもバターも
忘れるくせに


食パンだけが
増えてゆく
見栄と意地の象徴


冷蔵庫から
取り出したバターの容器を
冷蔵庫へは戻さず
ゴミ箱へ投げ捨て


戻っては来ない
徳子の存在を噛み締め


失った愛を
受け入れなければと


焼きすぎたパンを
バターの容器が佇む
ゴミ箱へ捨てた



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