『さよなら』から始めよう
俺は彼女の
何を見ていたのだろう
数日前までの
会話すら
思い出せない
話をしていた記憶すら
定かではない
捨てられて
当然なのだろう
お互い近すぎて
気持ちが遠く
離れていた
彼女が作った料理さえ
何がテーブルに乗っても
感想さえ告げずに
飲み込んでいた
彼女を先に捨てたのは
俺の方かも知れない
何不自由なく
部屋の中に居られる俺は
彼女の存在を
無碍にしてきたのだろう