『さよなら』から始めよう



俺は彼女の
何を見ていたのだろう


数日前までの
会話すら
思い出せない


話をしていた記憶すら
定かではない


捨てられて
当然なのだろう


お互い近すぎて
気持ちが遠く
離れていた


彼女が作った料理さえ
何がテーブルに乗っても
感想さえ告げずに
飲み込んでいた


彼女を先に捨てたのは
俺の方かも知れない


何不自由なく
部屋の中に居られる俺は
彼女の存在を
無碍にしてきたのだろう



< 8 / 40 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop