Happy birthday
「身体が勝手に動いた…」
呟くように言う透真に「え?」と聞き返す。
空は青くて……
空気は冷たくて……
でもそろそろ春が来る。
春には私が好きな色で一色になる。
桜……淡い淡いピンク色。
その色を好きになったきっかけは、目の前の透真で………
透真が夏のコンクールで展示した満開の桜の木の絵。
会場でそれを見た時、時間を忘れるくらい見入ってしまった。
淡いピンク色に吸い寄せられるような感覚だった。
「……初めは…きっと桜の木で会った時」
透真の言葉にはっとする。
「……覚えてたの…?」
「覚えてるよ…桜の花びらあんなに被った人初めて見た」
透真はフッと顔を和らげた。