Happy birthday
春。
この学校に入学した頃。
私は昇降口まで並ぶ桜の木を何気なく見てたんだ。
何気ないつもりが以外と時間が立っていたようで…周りが見えてなかったようで…
横に誰かが立ってたなんて思わなかった。
「桜……綺麗だね」
フッと男子の声が隣でして、ビクッと驚きながら反応する。
いつの間にか隣にいた男子は、無表情だけどとても綺麗な顔立ちをしていた。何だか彫刻みたい。
その男子は桜の木を見上げていたけど、私の目線に気付いてか…見下ろして私を見た。
すると、すっと手を伸ばして私の頭まで持ってくると、軽く頭を撫でた。
彼が頭を撫でると、パラパラと桜の花びらが落ちてくる。
「フッ…花びらがいっぱい」
無表情な彼が、顔を和らげて私を見下ろしていて…
ああ、いつの間にか頭の上に桜を積もらせてたのか……
と思うのと同時に、彼に対してドクンと胸が高鳴るのを感じた。
こういう時どうすれば良いのかなんてわからなくて、「ありがと!」と笑顔で彼に言ったんだ。