ズルい人
 竜が帰省したのを理由に、3人集まってバカ騒ぎ。すっかり遅くなり、私たちは亮太の部屋で川の字に並んで寝転がった。

 右に亮太、左に竜。私にとって一番安全で、安心できる場所――そう思っていた。

 「おやすみ」
 
 それぞれが同じ言葉を漏らして、亮太の手が私の頭をポンと撫でてから離れると、すぐに聞こえ始めた寝息。

 寝つきが良くて、目覚めない。昔から変わらない亮太にクスクスと小さく笑ってから、私は亮太の方へ体を向けて瞼を下した。

 直後、私の背中を温もりが包む。

 「竜……?」
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