ズルい人
 問いかける私を無視して、服の裾から侵入した指先がやわやわと背中を辿リ始める。触れるか触れないかのギリギリで背中を上がってくる指先に、堪らず体を捩った。

 「真帆……もう、ヤッた?」

 竜の口から出た信じられない質問に暗闇の中、目を見開いた。掠れた声が色気を孕んでいてドキドキする。けれどそんな私には構わずうなじに熱い吐息を感じて、また震える。チュッと音を立てるその卑猥な響きに心臓が激しく脈打ち始めた。

 耳に頬にうなじに、チュッと音を立てて離れていく唇。羽で触れているかのような優しさで背中を撫でる手。

 そしてパチンと弾けたブラのホックに身体を硬直させていたら、捲り上げられた服から現れた素肌に、唇が触れた。
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