心の灯り―キミがいてくれたから―
季節はもうすぐ夏。
夏服も解禁になってどんどん気温が上がる。
「あっつー!メイクはげる」
屋上で真由と由梨と3人でサボリながらアイスを食べている。
「こんな暑い日に数学とかやってらんねー!」
と真由が言ったから。
「真由メイク派手だからだよ」
由梨がクスクスと笑った。
「由梨みたいにスッピンでも美人ならいいけどねー」
アイスを食べながら真由がしかめっ面をした。
「こんなに暑かったら今日の料理教室中止だねぇ」
あたしもシャツをパタパタとあおぎながら言う。
「えー!今日はオムレツって言ってたじゃん!」
由梨の不満な顔。
「この暑さで料理とかマジ無理だから・・・」
週に1度の由梨に料理を教える約束は守っている。
ちょっとだけマシになってきたくらいだけど・・・。
陽人にあげるお弁当のためなんて正直嫌だけど、約束は約束。
そして、それを食べるか食べないかは陽人と自由。
由梨の気持ちを考えるとちょっと胸が痛いけど、あたしだって陽人が好き。
だから、たまに放課後、陽人にお弁当を渡しているのは内緒にしている。
陽人にも内緒って口止めしてるし。
知ってるのは、由梨以外の4人だけだ。