心の灯り―キミがいてくれたから―
本を読んでいると、だんだん暗くなってきて次々とみんな帰って行った。
時計を見ると6時になっている。
児童館何時までなんだろう・・・。
お父さんまだかなぁ・・・。
誰もいない部屋が急に怖くなって、本を本棚に片づけた。
ランドセルを背負って玄関の前に座ってみる。
もうすぐ冬だからすごく寒い。
白い息がはぁっと出た。
「お前、何やってんの?」
後ろから声が聞こえてギャーって叫びそうになる。
恐る恐る振り返ると、男の子が突っ立っていた。
「あたし?」
「うん。そこ寒いじゃん?だから何やってるのかな?って」
男の子をマジマジと見る。
確かあたしのそばで集団で遊んでた一人だと思う。
児童館の中でも目立つ感じ。
サラサラの髪に大きな目が不思議そうにあたしを見てる。
「お前も母ちゃん待ってるの?」
「お母さんいないから、お父さん・・・」
「何でいないの?」
「病気で死んじゃったから・・・」
「そっか」
みんな、あたしをかわいそうだって言うのに、この子はあっさり。
興味ないんだろうけど。