voice


「喚くな。停電だ。」

樹が胸張って答えた。



馬鹿だ。



「とりあえず、行くって言ったんだから行くの。」

「なにそれとばっちりー。」

渡部が豪快にほほを膨らませる。


渡部はそこそこかっこいい、と思う。
がたいはいいし、ごっつい。
男の中の男!って感じの奴で、彼女という存在にはあまり興味がないらしい。
だけど、女に興味がないわけではないらしく、パブとかラウンジとかキャバクラとかとか大好きで、いつも樹を誘ってはうへうへ言っている。


「どうせバイトないんなら付き合え。」

渡部の膨らませたほほをおもいっきり掴むと、
渡部は「明日はキャバクラの気分」とか意味のわからない返答をし始める。


「ま、いーけど。1回だけな!」

樹は、なぜか偉そうだし、なんなんだこいつらは。


もうなんかなんなんだか腹立ってきたけど、きっと二人には悪意なんてなくて、ただ単に今日を思いっきりゲームしたいだけだろうし、ってぐるぐる頭の中で一生懸命イライラの矛先をどこへ向けようか考えてみる。


「樹が言うなら、俺は0.5回だけな!」



意味のわからない上に、面倒くさいその返答に、イライラの矛先を瞬時に渡部に決まると、容赦なく渡部の頭をたたかせていただく。


「かおりさん?」

半ば涙目で、状況を把握しようと必死な座っている渡部に、私は
「行くよな?」と立ったまま圧力をかける。

「い・・・行かせていただきます。」


「よし。」


一件落着!明日待つのみ!


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