voice
「お願いお願いお願い!!
頼めるの、あんたしかいないんだって!!」
「私、ダブルデート苦手なんだよね。」
甘いものが食べたくなって、店員さんを呼ぶ。
「フォンデショコラひとつ」
「迷惑かけないから。」
フォンデショコラおごります。と小さい声で付け足す麻美。
「・・・渡部と樹がいいって言ったらいいよ。だけど。」
「だけど?」
「協力とかは、苦手だから。」
「わかってるよー。ありがとー。」
正直、めんどい。
人の恋愛に首突っ込んでいいことなんてないし、
まして、それでいつも友情を壊してきた。
だから、友達でいたいと思える人の恋愛には
かかわらないようにしてきた。
麻美とはずっと友達でいたいんだけどな。
「ほんと、あんたって恋愛苦手だよね。」
麻美が私のフォンデショコラをほおばりながら言う。
「恋愛小説とか、少女マンガとかも嫌いでしょ?」
フォークで刺されるのは、あまりいい気はしない。
「嫌いなわけじゃない。
恋愛だけのストーリーが嫌いなだけ。
確かに、生きていくには恋愛はつきものなんだろうけど、
それがすべてじゃないでしょ?」
「まぁそうだけど。」
「好きで好きで、勉強に身が入らなくてとか、
まぢ、甘えてるとしか考えられない。」
口にチョコ付けた麻美が、私の言葉を聞いて笑う。
「じゃあ、なんで山下君と付き合ってんの?」
「・・・・」
さあ、なんでだろう?