voice
明日、土曜日のダブルデートの時間と場所を決め、私たちは別れた。
家に帰ると、樹と渡部がゲームをしていた。
こいつらは、いつも私の家でゲームをする。
「なんで、私の家なの。」
「えー、ただ飯食えるから。」
渡部が、テレビに目を向けたまま言う。
「あ、明日、二人ともバイト入って無かったよね?」
「んーだから今日は遅くまでゲームできる。」
今度は樹が答える。
「自分家でやればいいのに。」
「だって、こっちにゲーム持ってきちゃった。」
今日もゲームの音が気になって眠れないかと思うと、吐き気がする。
「明日、遊びに行くよ。二人とも。」
「あー麻美ちゃん?俺連絡来たわ。めんどいから断るね。」
絶対言うと思った。
だから、無理だって言ったのに。
でも、一度引き受けたから
「うちらも行くから、行こうよ。」
「どういう風の吹きまわし?お前絶対何かおごられただろ。」
くっそーやめろーなんてワーワー渡部は言っている。
それに比べて、樹は冷静だ。
私の声が聞こえている。
ブチ
いや、冷静に見せかけていた。
納得のいかない結果だったのだろう。
樹は、ゲームの電源を抜いた。
「お前、何やってんだよ!おれの勝ちだろ今の。」