【短編】白い息に君への想いを
すると、先程喧嘩して去って言った筈の彼女と思われる女の人がコンビニ袋を提げて此方に向かってくる。

いや、正確には彼のいる公園に。

そのまま公園の彼の所まで行き、声を掛けると、2人が笑いあった。

ああ、仲直りしたんだなぁ。

そう思うと、思わず口許が緩む。

あんな喧嘩しても仲直りして幸せそうなカップルを見る日には思う、忘れないあの日々。

ずっと、行き場を無くしたこの気持ちが未だに心の中で、ふわふわと彷徨う。

あの時、こうすればよかったのかなって思う事はたくさんあって、もしもの世界を想像する度に虚しさでいっぱいになる。



嗚呼、この行き場のない気持ちをどうすればいいのだろうか――。



毎日のように問う、この問題。

毎日のように考えているのに、この問題が解けそうな気がしなくて、途方に暮れる。

あんなに君を傷つけたと言うのに、まだ、変わらないこの想い。

どうすれば消えるのだろう?

いいや、ずっと消えない。

死ぬまで消えなくて、死んで黄泉の世界に行ったとしても消えないと思う。

でも、そんな想いをずっと溜め込んで生きていくのは辛すぎるから。

少しだけ、少しだけ声に出させて下さい。

寒い寒い雪の日、行き場をなくした想いを冷たく白い息に込めて、ただ一言呟いた。







「好き――」



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