恋スル乙女。
金曜でよかった。
これほど感謝したことはないかもしれない。
椎名くんの好きな人が美緒だと知って、わたしは少しでも早く一人になりたかった。
だから、ドーナツ屋を出た後すぐに別れた。
その日はひたすら泣いた。
伝えられない気持ちを涙にすることで、少しは楽になった。
そして、土日という休日を挟んで、ついに月曜日がやってきた。
前の席だから、嫌でも椎名くんの背中を見なければならない。
一週間前は幸せだったソレが、今は苦痛に感じる。
それ以上に辛いのが…
「おはよ、ヒナ。
あの後うまくいった?」
美緒…
美緒を見ると、椎名くんの嬉しそうな顔が浮かぶ。
そして、胸が苦しくなる。