童歌

「おいおい、洗濯なら俺がやっとくから、座ってろよ」

 そう言って、私の手から洗濯カゴを取ってしまう。

「平気よ?洗濯ぐらい」

「平気なもんか、そのお腹で……。お前は気にしなくていいから、座ってろ」

「ふふ。なら、お言葉に甘えてお願いするわ」

 自分の大きなお腹をさすりながら、旦那の言葉に笑みをこぼす。

 臨月を迎えたお腹の中には、私たちの赤ちゃんがいて、時折お腹を蹴られては、その存在を噛みしめている。

「お母さーん!クレヨンどこー?」

「また幼稚園の鞄に入れっぱなしなんじゃないのー?」

 とは言え、日常は普段通り進むわけで、家事に追われ子育てに手をやく日々だ。

 とくに、6歳になる息子は最初こそ兄弟が出来ると喜んでいたが、私のお腹が大きくなるにつれて赤ちゃんにヤキモチをやくようになってしまった。

 家事は旦那が手伝ってくれるが、息子の甘えっぷりには困ったものだった。

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