ひだまりHoney
一章、

満員電車の憂鬱


人の熱。

様々なにおい。

電車が揺れるたび、体のどこかが誰かに密着する。

狭い空間に、私の「嫌い」がぎゅうぎゅうに押し込められている場所――満員電車。

立ちこめている熱気に、たまらず息を吐いた。

普段ならこれの一時間半も前の、しかも女性専用車両に乗って、人にもみくちゃにされることのない快適な通勤をしている。

満員になる時間を避けて電車に乗る……それは学生の頃から続いている習慣である。

……けれど、上手くいかない日もたまにはある。

今日は、寝坊してしまったのだ。

乗りたくなかったのにと後悔しても、仕方がない。

仕事に遅刻する訳にはいかないから、我慢。

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