ひだまりHoney
美都里さんに腕を引かれ、私の体は進み出す。
肩越しに、紺野さんをちらりと見れば、ちょっとだけ心配そうな顔で私を見ていた。
なんだか足が重くなった気がした。
のろのろと帰り支度をし外へ出れば、街はもう夜と化していた。
でもまだ昼間の熱気は残っている。
騒ぎながら歩道を歩く男の子達からも熱が放たれているように思えた。
私はスマートフォンを取り出した。
メールを確認すれば、弟からの着信が一件あった。
道行く女性が大田原さんを振り返り見て黄色い声を発している。
その姿を横目に、美都里さんが切なげに呟いた。
「四人の女性をはべらせて、一見すると嫌みな感じに見えるけど、大田原さんをみれば納得しちゃうわよね。王子様みたいで……ね、珠洲ちゃん?」