ひだまりHoney

「周りの人には、両手に花の状態としか見えてないと思いますけど」

私たちの少し先に、大田原さんがいる。もちろん、その両隣を名前も知らない女性社員二人が陣取っている。

苦々しく笑ってから、再度、手中の小さな画面に視線を落とした。

『これからサッカーの練習しに行ってきまーす! 終わったら飯食う予定だから、帰るのは十二時過ぎるかも。今日は残業あっても自力でよろしくー』

ビールの絵文字が添えられた文面に、しかめっ面になる。

けれど、ふっと我に戻れば、急速に不安が沸き上がってきた。

今私は、大学生の弟と一緒に暮らしている。

姉の私が言うのもなんだが、弟の凉太(りょうた)は結構良いやつで、こんな私にも協力的だったりする。

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