ひだまりHoney
ここ最近、紺野さんの視線マジックで、帰宅が十時過ぎになってしまったことが何度かあった。
でも丁度、弟のバイトの日と重なっていたので、十時に終わる彼と駅前で待ち合わせし、帰宅していたのだ。
今日はバイトがあったと思っていたけれど、思い違いだったようだ。
このまま食事に行ったら、店を出るのは何時になってしまうのだろうか。
「何が食べたいですか? リクエストをぜひ」
大田原さんが振り返り、私と美都里さんに少し大きめの声で問いかける。
お腹は空いている。家に帰って一人分の夕食をつくる手間を考えれば、このままどこかの店に入って食べてしまいたい。
……でも。
「ごめんなさい! わたしやっぱり遠慮します」
「えっ、珠洲ちゃん!?」
「珠洲さん!」