ひだまりHoney

ここ最近、紺野さんの視線マジックで、帰宅が十時過ぎになってしまったことが何度かあった。

でも丁度、弟のバイトの日と重なっていたので、十時に終わる彼と駅前で待ち合わせし、帰宅していたのだ。

今日はバイトがあったと思っていたけれど、思い違いだったようだ。

このまま食事に行ったら、店を出るのは何時になってしまうのだろうか。

「何が食べたいですか? リクエストをぜひ」

大田原さんが振り返り、私と美都里さんに少し大きめの声で問いかける。

お腹は空いている。家に帰って一人分の夕食をつくる手間を考えれば、このままどこかの店に入って食べてしまいたい。

……でも。

「ごめんなさい! わたしやっぱり遠慮します」
「えっ、珠洲ちゃん!?」
「珠洲さん!」

< 102 / 447 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop